インタビュー
INTERVIEW
2024.07.12
「金融を“サービス”として再発明する」
Finatextホールディングスのユニークな強みとカルチャーとは
上場後、3期連続で+40%以上の売上高成長率を誇り、上場来の黒字化も達成されたFinatextグループ様。代表の林様、PMの採用オーナーも務めるスマートプラス取締役の宮川様、CHROの岩本様に、弊社代表の片桐とDirectorの星がインタビューを行い、事業にかける想いやビジネス上のユニークな強み、それを実現する組織設計への考え方などについて、お話を伺いました。
#1 貴社事業に関して
片桐
まずは御社の事業やそのバリュー関して、代表の林さんより簡単にご説明をお願いします。
林 様
私たちは「金融を“サービス”として再発明する」ということをミッションに掲げ、金融インフラをSaaS型のサービスによって総合的に提供しています。
これまで日本の金融システムは大手のシステムインテグレーターによって構築され、度重なる機能追加などにより非常に複雑化してきています。また、レガシーな技術で構築されているため、何かを変えようと思っても膨大なコストと時間がかかるわけです。
この古くから使われ続けている日本の金融システムを今の時代に即した形で、より使いやすいサービスとして提供しているのが私たちFinatextグループです。
そして、こういった取り組みは私たちのようなベンチャーでしか出来ないことだと思っています。その理由は、大手のシステムインテグレーターには一定の既得権益が存在するといいますか、何かを大きく変えることが自社の収益を圧迫することになりかねないので、やろうと思ってもできない、ダイナミックな意思決定ができない状況が発生しているためです。この金融業界においては他業界と比べてもレガシーなシステムがいまだに残っているのだと思います。一方、私たちは新しい会社なので、既存のビジネス云々といったことを考慮する必要は全くなく、今の時代に即したクラウドネイティブな金融プラットフォームを提供することに全力を注げます。
金融機関からしても、これまでは他社に乗り換えるという選択肢が取りづらかったのですが、私たちのサービスが認知されるにしたがって、少しずつその価値を感じていただけているという実感があります。
時代の進化と、急速に発展していくテクノロジーの交差点に私たちの会社が存在しているのだと思っています。
#2 Finatextの魅力、強み、他社との差別化
片桐
なるほど、御社がこの事業に全力で取り組める理由がわかりました。一方で、他に新規参入をしてくる競合会社などはいないのでしょうか?
林 様
まず、日本はこれだけ潤沢な資金があるにもかかわらず、スタートアップが少なすぎます。米国や中国であれば、同じようなビジネスモデルのスタートアップがすぐにたくさん出てきて市場を席捲するわけですが、日本はそういった動きがほとんどありません。その点、私たちはまだ誰も入り込めていなかった市場にリスクをとっていち早く参入し、事例を作ったということが大きいです。金融というクローズドな世界において、新規参入することは大きな決断とリスクテイクが必要なわけですが、私たちはそれをなんとか実行することができました。タイミングが良かったといえばそれまでですが、適切なタイミングできちんとリスクをとって前進したこと、今となっては業界内での認知も少しずつ広がってきています。私たちもサービスをより良いものへと進化させるべく日々アップデートしていますので、今から他社が同じようなことをして追いつこうとしてもそれはかなり難しいことだと思っています。
また、この事業を進める上でスピードは特に大事です。いま当社の従業員数はホールディングス全体で330名規模(2024年7月現在)になっていますが、組織の階層といったものは極力ない方が良いと思っているんですね。理由はとてもシンプルで、ベンチャーが大手企業や既存のプレイヤーと勝負するのに、スピードに勝る武器は存在しないと思っているからです。当然ながらはじめのうちは企業体力も貧弱だったのですが、、それでも当社のビジネスに共感して参画してくれたメンバーがいたことで、その人たちが中心となり事業を立ち上げることができました。
野心のある野武士集団のようなイメージです(笑)。全員が「やりたいこと」や「おもしろいこと」を常に考えて行動してくれたことで、その激流の中を駆け抜けることができました。もちろん、これまで全てが順調だったわけではありませんが、野武士集団なので何度壁にぶつかっても、不死鳥のように蘇る強さがありましたね(笑)
片桐
なるほど、よくわかりました(笑)
現場で事業をリードする宮川さんにもお聞きしたいのですが、現場で働く側としてはどのような点が御社の強みになっているとお考えですか?
宮川 様
私は大きく二つあると思っていまして、一つが労働集約型のビジネスではなく、プラットフォーム型のビジネスを志向しているということです。
新しいシステムを作るのに、その度にひたすらコーディングをして、何なら以前作ったものと一緒だからコードをコピーして・・・という労働集約型のビジネスではなく、クラウドネイティブな金融のプラットフォーム、まさにAWSのような仕組みが私たちのビジネスモデルです。私自身、それに大きな魅力と可能性を感じて入社を決めたわけですが、このプラットフォーム型のビジネスであるということが他社との大きな差別化要因の一つだと思っています。
もう一つが高度な内製開発体制です。これは林も他社を知らないのであまり認識がないかもしれませんが、もともと日本の金融業界はアウトソースの文化が当たり前でした。それに対して当社のエンジニアはクライアントのビジネスに提言をしますし、クライアントと対等にディスカッションもしますし、そして開発実務そのものも行うわけです。そうなると結果的にアウトソースしたところで作られたものよりも無駄がなく、資産価値が高いものが出来上がるわけなんですね。さらに、先ほど林が申し上げたとおり、スピードは本当に大事ですし唯一無二の武器ですが、日本の金融システムには同時にとても高い品質が求められます。それをテクノロジーで実現させる際に、開発と運用が一体化していることで昨今は当たり前のように言われるDevOps、SREといった概念がしっかり会社に根づいていること、技術の力でそれを実現しようとするスタイルが大きな強みになっていると思います。
当社はこれまでも自社サービスを開発してきた経験が豊富なので、この二つの強みを最大限に活かしたサービスの開発ができています。
また、先ほど林が申し上げたように、当社と同じようなビジネスを他社が立ち上げることも簡単なことではないので、このサービスを磨き上げることに注力もできますし、そうすることで、より一層クライアントに高い価値をお届けできると考えています。
#3 今後の成長戦略や事業を下支えする制度やカルチャー
片桐
ありがとうございます。先ほど林さんからなるべくフラットな組織でありたいというお話もありましたが、連結300名を超える規模になって、組織運営の観点で意識していることはありますか?
林 様
まず、私は圧倒的に“個が強い組織”でありたいと思っています。5周回って気づいたのですが(笑)、やはり根本的な人の考えや能力を変えることは非常に難しく時間がかかるので、そもそもの“個が強い人”をいかに採用できるか、そういう人にいかに当社に興味を持っていただけるかがポイントだと思っています。ただ、もちろん当社のカルチャーに馴染んでいただくためのサポートや入社後のオンボーディングは必要なので、そのあたりについてはCHROの岩本を中心にしっかり行っています。
実は、私自身は「経営」とか「マネジメント」とかという言葉が好きではなく、たまに外部の人から「どういう風に経営をしているんですか?」と聞かれたりしますが、そのこと自体に違和感があるんですよね。私は自分で営業して、採用にも全力で関わってと、とにかく自ら現場で動いています。今の私たちくらいの規模であれば、社長が現場で動くことが一番大事だと思っていますし、そうしなければわからないことがたくさんあると思っています。
また、現場に対してあれやったか?これやったか?といった管理も一切していないので、社員は誰一人として私の顔をみて仕事なんてしていません。私がマイクロマネジメントすることはなく、各々が各々のアジェンダで、セルフマネジメントをしています。今後さらに規模が大きくなっても、目指したいのはそういう一人一人が自立した組織ですね。
片桐
なるほど。林さんのお考えはよくわかりました。社長の考えを社員に理解してもらうために、岩本さんが取り組んでいることなどは何かありますか?
岩本 様
実は、私がこの林の考えを何か制度等の形にする際に、あえて私が社員にわかりやすく伝えるとか、そういうことはしていません。林の発信は社員にしっかり届いていますし、何かあれば林が直接全社員とコミュニケーションを取りに行きますから。本当にレポートラインという言葉がないので、そのあたりも他の会社に比べてユニークな点なのかもしれません。特に金融系のビジネスをしているとそれだけで堅い印象を持たれがちですが、私たちは全く逆のカルチャーですね。入社後に会社になじんでいただけるように、オンボーディングでは林をはじめ各事業責任者から会社や事業概要の説明がありより理解を深めていただけるような時間を設けています。
林 様
私はできる限り社員一人一人とダイレクトに話したいと思っているし、「これは社長が伝える必要はない」とか、そういうことは全く考えていません。
ただ、どうしても1toNのコミュニケーションはあるので、5年前から毎週必ず週報を書いて、全社員に発信しています。年末年始も休まず毎回2,000文字くらい書いて、もはやネタ切れなのですが(笑)。ただ、何度も何度も発信し続けることでそれが少しずつ浸透するといいますか、「そういえば、林さんがあんなこと言っていたな」という風に思ってもらえる。そこに、各現場のリーダーがそれぞれの管掌領域でメッセージを出してくれることによって、皆が同じ方向を向いて前進できるというわけです。また、コミュニケーションは常に双方向です。自分はこう思うけど、あなたはどう思う?私はこう思う、といった双方向のコミュニケーションができる環境をつくらないと本当のパフォーマンスは出ないですからね
#4 エージェントへのパートナーシップや期待
星
とても働きやすい環境が自然と出来上がっている感じですね。最後に、人材紹介会社であるわれわれに期待することをお聞かせいただけますか?
林 様
私たちは2021年12月に東証マザーズ(現:東証グロース)市場に上場しましたが、まだまだ認知度は低く、世の中の人達に知られていない存在だと思います。ただ、2023年度の通期決算では上場後初の黒字化を達成しましたし、まさにこれからがおもしろいフェーズだと思っています。私たちも全力で「金融を“サービス”として再発明する」ことに力を注いでいますので、マルスコンサルティングさんをはじめとするエージェントの皆さんには是非私たちの会社を好きになっていただいて、こんなおもしろい会社があるということを一人でも多くの候補者の方に伝えていただきたいですね。とにかく、今はたくさんの候補者の方とお会いしたいですし、このフェーズの私たちにコミットしてくださるエージェントさんは大事にしたいなと思います。それから、エージェントの皆さんとは対等な関係でありたいと思っていますので、例えば採用プロセスにおいて私たちの至らない点があればどんどん指摘してほしいですね。特に、マルスコンサルティングさんはこれまで質の高い候補者の方をご紹介いただけている印象が強いので、今後も良い関係性を続けていきたいと思っています。
片桐
ありがとうございます。以前から御社の魅力は十分理解しているつもりでしたが、本日のインタビューでさらにその解像度が上がりとても良い機会となりました。クラウドネイティブな金融インフラをプラットフォーム型で提供すること自体がユニークな取り組みですが、組織に対する考え方やカルチャー、大事にしていることなどがお伺いでき、今後の成長がますます楽しみになりました。